5月20日に厚労省から
『マスクの着用の考え方及び
就学前児の取扱いについて』の
事務連絡が発出されました。
それによると身体距離が確保できる場合、
屋外は会話を行う場合でもマスク着用の必要はなし。
屋内は会話を行う場合でも、
十分な換気など感染防止対策を講じている
場合は外すことも可、と示されました。

それを受けてはまようでは早速、
5月24日の親子学級ワークショップで
参加者のマスク着用を任意に解除。
参加者のその後の体調確認を経て
安全性を担保した後、
6月2日の全園児の園庭での
親子ふれあい体育あそびでマスク着用を求めず、
6月6日をもって、園内でのマスク着用は
すべての場面で「任意」としました。

岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は、
『新型コロナウイルス感染症対策
アドバイザリーボード（第84回）』の議論のなかで、
「小児科医が懸念しているのは、
たった今の瞬間のことではなくて、
例えば保育園にいる子供たちが
小学校に行ったとき、大人になったときに、
こういう状況が長期間にわたった場合には
影響があるだろうということをそれこそ
エキスパートオピニオンとして懸念をしているので、
エビデンスは、それこそ10年先、20年先は分からない
けれども、そういった気持ちがある」^※
と述べました。

新型コロナウイルスの発現において、
私たちが知ったことのひとつは、
新型ウイルスの事は専門家でも
「わからないことが多い」と
いうことでした。
エビデンスが出て「わかる」まで
待っていたら
取り返しのつかない事態が
起こるかもしれないことを、
ふだんもっともエビデンスを重要視する
専門家が懸念するのが
「いま」なのです。

この専門家の懸念こそが、
われわれが2年前に
直感的に危惧した影響でした。
そして、その考えは極めて異端なものとして
世間から忌避されたことは生涯忘れません。

この2年間に鮮明になったことは、
答えがわかってから判断したり行動したり
するのではなく、答えはわからないけれど
とにかく何らかの方策はとらないといけない
重要な岐路に立たされることが
今後ますます増えるだろう、ということです。

哲学者は、「生きる力」として、
「よーわからんけど、これは大事
という直感が働く」ことがポイントだと説きます。
また、「答えがないものに答えがないままに
ちゃんと対処できる力というのが、
本当の大人として身につけなければ
ならないこと」であり、
答えがないままに「考え続けられる力が
とても大事」と示唆します。

考えて見れば、当たり前ですが、
世の中はわからないことだらけです。
でも、わからないことをインターネットで調べて
ただちに答えを得る「ICTを活用した教育」は、
哲学者の言説とは真逆の考えであり、
われわれはそれを支持しません。

今日も子どもが園庭で昆虫をつかまえて
その虫が何という名であるか知ろうとしています。
大人がすることは、子どもに正しい虫の名を
教えることではなく、iPadを渡すことでもなく
（虫が生息する環境を整え）、
「なんやろなー」「名前どうしたら
わかるんやろなー」などと一緒になって
虫への興味・関心を示しながら、
一人ひとりの子どもと
心を通い合わせようとすることなのです。


※令和4年5月19日に開催された
　『新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード（第84回）』の
　議事概要から抜粋。