ひとつの心、ひとつの仲間。
梅雨入り宣言が出たとたんに夏日となった6月4日。はまようちえんの夏の風物詩「どろんこあそび」も毎日繰り広げられています。
入園から8週間たち、このあたりから新入園の子どもたちも「まいにち幼稚園に来る」という生活に慣れてくる頃。どろんこあそびは、そんな時期の子どもたちのこころをより一層開放するあそびになっています。なかには「どろんこになりたくない」と完全拒否の子どもも少なからずいます。そんな子たちに無理強いは禁物ですが、大人はなんとか幼児期にしかできないこの遊びを体験してもらいたいと、あの手この手で誘いをかけます。
今年から年長クラスには『お仕事隊』という役が新登場しています。お仕事隊にはウサギのさくらとのんの世話をする『ウサギ隊』と、畑仕事を担う『畑隊』、そして園庭のおもちゃの片付けや遊びが止められない年少児のお世話などをする『パトロール隊』があります。
上の写真は、パトロール隊が朝のあそび時間の終了を全園児に向かって告知している場面です。しかし、よく見ると、皆の表情がバラバラです。まだまだ不慣れなパトロール隊は、この日はなかなか声を合わせることができません。その場で声を合わせるためのいくつかの提案がぽつりぽつりと投げられるのですが、どれも沈黙の沼の底に沈み込んでいってしまいます。
結局この朝は任務を遂行できず、直ちにふりかえり会が担任のファシリテーションのもと始まりました。
「なんで声を合わせられなかったんやろ」
「こころがばらばらやったから・・・」
「いっせーので、いうたらええやん」
ふだん先生から「こころをひとつに」と数多く声をかけられてきたからかもしれません。
息を合わせたり、こころをひとつにしたりする行為は、人と人のつながりが実感できます。ぴったりと合ったときは、とても心地よくなります。たぶんもれなく、誰でも。先生が合図をして、なんどもなんども同じリズムで言葉を繰り返し声を合わせることは簡単にできます。しかしきっかけから間の取り方まで、すべて子どもに任せてやる「一列に並んでの声合わせ」は、とても高度なことです。一度や二度でうまくいくはずがありません。また、メンバーが替わると崩れてしまうこともあります。それでもあえてこの方法を採用するのは、人と人がつながりあうためにたいせつな何かが隠されているのではないか、と私たちが無意識に感じているからなんじゃないかなあ、と考えました。
幼児期に仲間と「こころをひとつにする体験」をたくさんできた人は、大人になってからも孤独とは無縁になるような気がするんですよね。
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